うつの人がうつを支援する人を学ぶ。

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

はじめに

うつ病である私を取り巻く状況について学んでみようと思い立ち精神保健福祉に関する書籍を何冊か読みました。現在の精神保健福祉の理念や実態、支援方法や考え方について学びました。何の資格も持たない素人の一意見ですが、当事者たる自分に響いたことについて書き記したいと思います。

①やりたいこと、好きなこと、大切にしたいことを明確にする

当事者にとっての最重要ポイントです。精神保健福祉の分野では当事者の気持ちを最大限尊重し、その目標に向けて様々な専門家や職員の方が連携して支援し生活の質が向上するよう動いてくれています。当事者の気持ちを中心に支援内容が決まるのです。そのため当事者としては「何がやりたくて、何が好きで、何を大切にしたいのか」を支援者の方に伝える必要があります。支援者は助言や提言を行うことで当事者の行動変容を促すこと、当事者の行動を制限したりコントロールすることは趣旨に反すると書いてありました。行動制限やコントロールされていると思う場面にはいくつか遭遇した経験があったので少し驚きました。

私はこれを「サポートはするけれども直接伝えないと伝わらないこともあるのだよ」というメッセージだと受け止めました。

私自身「何がやりたくて、何が好きで、何を大切にしたいのか」考えてもこなかったので悩んでいます。人や状況に流される人生だった人間にとってこれは非常に難題です。これからの課題として考えたいと思いました。

②地域に根ざして生活する

欧米や北欧などでは、精神的な課題を持つ人も地域に溶け込んで生活しているそうです。個人や家族の問題と捉えるのではなくて地域全体の問題として捉え様々な組織が支援に乗り出しています。これは政府の政策を頼りにするだけではなくボランティアや福祉事業等がセーフティネットとして活動しているためです。精神的な課題を持つ人が入院するケースも減少傾向だそうです。

日本では地域の問題として捉えるのではなく個人や家族の問題と捉える傾向が強いようです。家族との関係が良好ではない人は個人の問題となり重い負担となります。家族の問題としても支援には限界があります。精神的な課題に対処するのは専門家でも難しいのです。家族の問題とすると家族全体が疲弊して二次被害をもたらすこともあります。

今後は日本でも欧米や北欧のような地域に根ざした福祉サービスの充実が進められていくそうです。当事者としては今住んでいる地域にどのように溶け込むのか、そのためにどのようなサービスを受けたらよいのか知る必要があると考えています。すでに精神的に不調となっている人で少しでも余裕がある人は自分からその地域にある支援場所に救いを求めることも大切です。

今の地域に住んでいるから今の環境だから問題になっているのだという方もいらっしゃると思います。移動できる人はそうすべきだと私は考えます。そして自分に合った地域で精神的な課題を解決していく。その方が合理的で納得感も強いと思います。それができない人はまずは今住んでいる地域で支援を求めるべきだと考えます。精神的な課題の克服を最優先にして行動して実際に安定してから別の地域に移動する。その際に、支援がまだ必要であれば移動先の地域での支援先を紹介してもらう、必要ないのであればそのままということも可能です。

③次の世代の人が同じ悩みで苦しまないようにバトンをつなぐ

精神保健福祉に関する制度や法律が整備されたのはごく最近です。他の疾病よりも目に見えづらく社会での生活のしづらさの客観的評価が難しいという背景があったのだと思います。また現在、精神的な病というものは公にしづらいです。年々それらの状況は改善されているという実感はあるのですが公表することに対するメリットが大きいという方は少ないと思います。年々精神疾患の患者数が上昇しているのも、受診に対するハードルが下がったという面はあります。一方で心の調子が明らかにおかしいと分かるまで受診できないとう背景もあるのではないかと推測しています。

精神的な課題は長年認識されつつも、現在のような制度や体制、法律が整うまで非常に長い時間がかかっています。当事者の一人として身が引き締まる思いがしました。声に出しづらい環境の中でも支援者の方や当時の当事者の方達が行動してくれたことによって昔よりも安心して精神的な課題に取り組む環境が整い始めています。今では五大疾病の1つとして認定もされています。私個人でできることは少ないですが何か行動したいという気持ちになりました。

まとめ

徐々に精神保健福祉の範囲は拡大しています。発症後の治療という観点より進んで予防という観点でも議論が進んでいます。しかし、健康診断や歯科検診のように気軽にできるというものではありません。私個人も最初に精神科のクリニックに受診するときは相当抵抗感がありました。受診してからも、他の疾病と同様主治医の指示に従えばすぐに治るという考えを持っていました。これが甘かったです。

自分のことは自分がよく知っています。比較的症状が軽い方、自分の気持ちを伝えることができる方は正確に率直に意志を表明することが良い支援を受ける切っ掛けになると考えています。症状や特性によって自分の気持ちを表現することが難しい人も多いと思います。私もそうです。

精神保健福祉の今後の流れは、精神的な課題は当事者主体になって解決を図る、そして地域に溶け込んで当たり前の生活ができるよう当事者を支援するという方向のようです。そうなると自分の意思や意図をきちんと伝えるられるような状況をつくる必要があります。また、地域に溶け込むということは環境が変化する可能性も示唆しています。福祉サービスの充実に伴って、様々な施設ができ環境は整いつつあります。環境が整ったら、その環境に飛び込む必要があるのです。そこでの人間関係や規則・ルールなどの変化が新たな精神的な課題となることもあるでしょう。また、個人情報保護の観点から、自分の状況を全員が共有しているか不明になる点も課題の1つです。共有しても良いと伝えるのか、自分でそれぞれの担当者に伝えるのか、そのことも念頭に置いておく必要があると感じています。

 

ここまで読んでくださりありがとうございます。何かの一助になれば幸いです。